マツダの悩みとは?
東洋経済に興味深い記事があった。経済記事は危機を煽ることが少なくないが、楽観できる状況でないことは明らかだ。サイトへ飛んでじっくり読んでみてほしい。また今日現在では記事に対する14件のコメントが上がっていたが内容は結構辛らつだ。そこにも目を通してほしい。
どんな企業も勢いがある時のかじ取りが難しい。理由は経営者自身が今の勢いの理由が分かっていないからだ。マツダが間違えても小飼雅道社長を非難することは出来ない。しかし、既に具体的に提示されている問題にまで目を向けないならどのような転び方をしても同情は出来ない。
/
http://toyokeizai.net/articles/-/156781
マツダの悩みは「トランプリスク」より深刻だ
屋台骨の米国と日本で販売がつまづいた理由
木皮 透庸 :東洋経済 記者
2017年02月05日
マツダの決算発表と同じ2月2日にフルモデルチェンジされたSUV「CX-5」。2017年度の業績はこの車にかかっていると言っても過言ではなさそうだ(撮影:梅谷秀司)
「情報を確実に収集し、影響を冷静に分析していく」
2月2日に2016年度の第3四半期決算を発表したマツダ。記者会見で米国のトランプ新政権が与える影響を問われた丸本明副社長は、堅い表情でそう述べるしかなかった。
3月期決算の多い自動車業界では第3四半期の決算発表が本格化してきた。注目が集まるのは業績よりもむしろ、トランプ新政権が打ち出しているNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しなどの通商政策への対応だ。
屋台骨の米国はトランプリスクで揺れる
マツダは米国のシェアが2%弱と、トヨタ(14%)やホンダ、日産(ともに9%前後)に比べると目立たない存在。だが米国に生産拠点を有していないため、国内の雇用拡大を掲げるトランプ政権下ではリスクが高い企業の一つだ。
マツダの丸本明副社長は、第3四半期決算の発表会見でトランプ政権の影響についてコメントした(記者撮影)
米国はマツダの世界販売のうち2割を占めるだけでなく、「全社の利益の半分以上を稼いでいる」(国内証券アナリスト)。まさに屋台骨の市場であり、小飼雅道社長も「台数、収益面でとても重要」と認めるところだ。
その米国では2016年に約30万台を販売。そのうちの15%はメキシコ、85%は日本からの輸入だ。NAFTAの見直しも懸念材料だが、仮に日本からの輸入車にかけられている2.5%の関税が大幅に引き上げられれば、米国でマツダ車は一気に競争力を失うことになる。
マツダはこれまでも米国事業で苦労してきた。元々、ミシガン州で米フォード・モーターとの合弁工場で生産してきたが、リーマンショックで稼働率が半分以下に低下してしまう。北米事業が赤字に陥ったことから、2012年に合弁を解消して米国での現地生産から撤退。日本からの輸出に切り替えた。
その後、2014年にメキシコに新工場を稼働させた。低廉な労働力や集積が進んだサプライチェーンを活用して、北米や欧州、中南米への輸出拠点として定着しつつあった。そんな中で突然浮上したリスクにマツダも困惑を隠しきれない。丸本副社長は「外部環境に左右されにくい強靭な企業体質を目指す」と話すが、日本、メキシコ、タイなど限られた拠点での集中生産で収益性を高めるマツダにとって、抜本的な戦略変更は難しい。
http://toyokeizai.net/articles/-/156781?page=2
マツダの悩みは「トランプリスク」より深刻だ
屋台骨の米国と日本で販売がつまづいた理由
木皮 透庸 :東洋経済 記者
2017年02月05日
トランプリスクに加え、マツダの経営陣が頭を悩ますのは日米の販売低迷だ。むしろ足元ではこちらのほうが深刻な課題といえる。
今回の決算発表でマツダは2016年度通期の営業利益見通しを従来予想から200億円引き下げ、1300億円とした。前期比では4割を超す減益となる。ドル円レートが当初の想定よりも円安に振れたことで180億円の押し上げ効果があるが、日米の販売減少の影響が打ち消してしまう。さらに、リコール(回収・無償修理)など一過性の品質関連費用が200億円の悪化要因となっている。
値引きに頼らない販売が限界に
米国ロサンゼルスにあるマツダのディーラー。手前にあるのが販売不振に陥っている「マツダ3(日本名:アクセラ)」だ(記者撮影)
当初、米国販売は通期で32.5万台を見込んでいたが、セダンタイプの苦戦で1.5万台引き下げた。主力の小型セダン「マツダ3(日本名:アクセラ)」は第3四半期まで(2016年4~12月)で前年同期比9%減。中型セダン「マツダ6(日本名:アテンザ)」は同15%減だった。
ガソリン安や低金利を背景に、需要がセダンからSUV(スポーツ多目的車)やピックアップトラックなどの大型車に移ったためだが、他メーカーよりもセダンの苦戦が目立つ。原因はメーカーが販売店に対して値引きの原資として支給するインセンティブ(販売奨励金)にあった。
営業部門を統括する青山裕大執行役員は「競合他社が強化しているインセンティブに必ずしもタイムリーについていっていなかった」と分析し、今後はインセンティブを一定程度積み増す考えだ。
マツダは極力値引きをしない「正価販売」を販売改革の軸に据えており、米国でもインセンティブ競争からは距離を置いている。米国では、マツダの車づくりの哲学を販売員が顧客に伝え、商品価値を理解してもらう取り組みを昨年から始めている。価格以外の価値を訴求できれば、消費者のロイヤリティ(忠誠心)が高まり、再購入に繋がりやすい。結果としてマツダも販売会社も収益基盤が安定する、という良循環につなげるのが狙いだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/156781?page=3
マツダの悩みは「トランプリスク」より深刻だ
屋台骨の米国と日本で販売がつまづいた理由
木皮 透庸 :東洋経済 記者
2017年02月05日
しかし、たとえばマツダ6は競合車種とのインセンティブの差が2000ドル近くになり、競り負けることが多くなったことから軌道修正を迫られている。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは「車の実売価格は市場が決める以上、インセンティブを一定程度積み増すことは致し方ない。販売低迷が続くとディーラーの経営が疲弊し、結果として販売改革の良い流れも妨げてしまう」と指摘する。
日本での販売も新型車効果の一巡で厳しい。通期では5000台下方修正し、20.5万台(前期比12%減)の見込みだ。2016年は主だった新型車の投入がなく、4車種で商品改良を行ったが、小型車の「CX-3」や「デミオ」の販売が芳しくない。
国内では低価格グレードの拡充が急務
国内で販売されているCX-3は、ガソリン車よりも高価格なディーゼル車しか設定がない。また、現行のデミオは廉価グレードで135万円と、旧モデル(同114万円)に比べ約2割も上昇し、競合車種と比べても高めだ。手頃な価格の実用車を求める消費者に応えられていないことを認識したマツダは、小型車で「量販価格帯のグレードの拡充で今後反転を図る」(青山執行役員)方針だ。
マツダは2012年以降、環境性能と走行性能を両立させた「スカイアクティブ」技術を搭載し、躍動感のある「魂動」(こどう)デザインを採用した新世代商品群が軒並みヒット。これが業績回復に繋がった。第一弾となったSUV「CX-5」発売以降の4年間では世界販売が2割以上も伸びた。
しかしこの数年間マツダが謳歌したブームはすでに一巡したようにもみえる。平時に戻った今こそ、商品のグレード展開や価格設定などで消費者のニーズに真摯に向き合わければ持続的な成長はおぼつかない。
/
訴求力の欠落した新技術?
- Gベクタリング。こんなもの誰も分からない。残念だけど有難みを感じることが出来るのは、スポーツドライブの環境などないから、わざわざそういう会場に出かける一部のマニアか、暴走族の連中だろう。嫌、逆に暴走~危険運転を煽ることになるだろう。
- ディーゼルの静音技術。これも誰も分からない。同じモデルで乗り継いだ人が最初だけ認識できること。一般に訴求することはない。
- 衝突回避・衝突安全。これは微妙。カタログ仕様を確認する機会があまりない。カタログに謳わない訳には行かない。
- 2.2Lディーゼルのパワー(トルク)は圧倒的。
- トランスミッション。新型はどのような改善が施されたか。
- 燃費性能も十分だ。
- マツコネの問題は克服されたか。下手すると新世代マツダ全体の致命傷になる不安。既になっているかも知れない。
- マツコネに代表されるHMI設計は全体に上出来と言えない。毎日乗れば慣れるものではないから困る。
- クリーンディーゼルの長期的信頼性。マツダ固有のエンジンについての市場評価はこれから。保全コストが見えてきた時に想定外の対応を要求されたら大ごと。早めに手放す人が出ると中古を含め価格維持が困難になる。
- 業界全体のディーゼルの普及は限定的なため何かにつけコスト高。事業採算性を圧迫しているだろう。逆に電気自動車、ハイブリッドは裾野を広げており、今後は採算性向上が見込める。ディーゼルは早晩価格競争力を失うということ。
- 自動運転、コネクティッドカーといった壮大なIT技術の取り込みは業界全体の課題だが、マツダにメインプレイヤーのポジションはない。アライアンス戦略をリードできるIT業界に明るいキーマンの陣容が見えない。(マツコネの初期コンセプトは結局失敗してしまった)
/