新型アクセラに試乗してみた!
エンジン排気容量はディーゼル2.2Lと言っていたが印象は大分違う。パワー配分が低速に厚いからやはり1.5Lだろう。パワーがないと言ってもガソリン車の1.5Lとは比べ物にならない。
低速~中速は気持ちのいい回転だ。坂道を使って負荷をかけるとシフトダウンが簡単に起きて、2.2Lのような変速なしで頑張る感じは弱い。高速はやっていないが、トランスミッションの仕事領域だから、エンジンとしての問題はないだろう。
1.5Lディーゼルはもともと2.2Lディーゼルに比べてエンジン音質は改善されていたのが更に熟成させたようだ。
変速機は今やマツダの弱点領域になりつつある。多段化が遅れているので、ロックアップコントロールの弱さが目立つようだ。ディーゼルの分厚いトルクが欠点を表に出さないで済ませているが、乗り慣れれば物足りなさがはっきり自覚できる。
問題のGベクタリングコントロールは内容も理解できないがそれ以上に体感は全くできなかった。コーナリングでエンジン出力を微調整する。プロのラリーレーサーがやる①ブレーキング・②コーナリング・③アクセラレーションの一連一体動作をエンジン出力コントロールでヘルプするようなものだ。カーブの入り口でG(横方向)を感じたら出力を下げ、一種のエンジンブレーキを効かせ、コーナリングをスムーズにし、Gの戻りを感じたら出力を戻しカーブの出口のスピードを速やかに回復させるもの。(多分)
スポーツドライブを楽しむ一般の人には受け入れられるかもしれないが、プロは感覚を掴めなくて敬遠するだろう。安全運転の普通のドライバーの場合はそもそも大きなGは発生しないので恩恵は殆どない。若干運転が上手くなったくらいには感じるかも知れない。それでも、危険回避のために急ハンドルを余儀なくされた場合はハンドル操作の破たんを少しは軽減するかもしれない。安全性への貢献が期待される。
いずれにしても、Gベクタリングはフィーチャーとして訴求できるものではない。鉄道列車や電車の類がカーブで振り子を使うのと似たようなものだ。素晴らしい着眼と現実的なメリットはあるが、だからと言ってその電車に乗りたいとは意識しない。それにやり過ぎたらかえって危険な技術とも考えられる。
乗り降りはSUVに乗り慣れるてしまうと窮屈この上ない。最早この手の車の必要が全く感じられない。見た目の格好良さと乗り手の満足度はかなりずれている印象だ。「スポーツ」の意味も変わってきている。背の低いアクセラに乗ってコーナリングを楽しめるドライブプランが成立するのはあまりなさそうだ。広島の山奥でも無理だろう。
それでも、レボーグが売れている様にアクセラも売れるだろう。洒落たファミリーセダンとして。
インテリアの質感は悪くない。
問題のマツダコネクト、インフォマティクス、カーエレクトロニクス、この辺の領域の改良は何があったのか確認できなかった。少なくとも魅力的に刷新された印象はない。本気で、馬鹿マツコネと心中する気かも知れない。嫌、裸の王様の経営陣は、何が問題かすら全く理解できていないのだろう。
半日かけて試乗した結局の印象は、なかなか良い車だけど、悪くないクルマだけど、もっと乗りたいとか、この車が欲しいとか、そういう気持ちにはならなかった。
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マツダの企画・設計・開発は何かが間違っていることだけは分かる。
スカイアクティブがいつの間にか縦割りのバラバラの統一感のないものになってしまっているのに肝心なキーマン(誰?)が気づいていないようだ。 嫌、案外最初から、苦手な領域を置き去りにして走ってしまったのではないか。その歪みが時間とともに拡大しているとしたら悲劇的だ。
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