マツダコクピットは只の願望?(3)cockpit/thought/view
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- 視界は極めて悪い。SUVは見下ろしで視界は良い筈なのに駄目だ。右斜め前方は最悪。右折時や右カーブ運転時の安全確認は常に不安と隣り合わせ。外観デザインを優先させる開発手法だから問題があっても言い出せなかったのか。ピラーの形状改善を提案すべきだった。マツダの技術者間の力関係は分かるが、マツダデザインは安全を置き去りにしているのも不味いでしょう。
- 左やや後方はピラーとヘッドレストが重なって視界が悪い。深刻ではないが閉塞空間の印象になってよくない。
- 前方視界は、最近の安全設備でやはり窮屈になっている。ルーフ活用を考えるべきだが、古典的なデザイナーは抵抗するだろうね。
http://www.mazda.co.jp/beadriver/cockpit/thought/view/01/
人間特性の研究から生まれた、マツダ独自の視界性能。
車両実研部
中村 誠之
クルマの運転環境に最も必要とされる前提条件。それは良好な“視界”です。マツダは運転する人間の身体や目の特性を徹底して研究することで、独自の視界性能を追求。CX-5以降の新世代商品に積極的に取り入れています。クルマの運転を安全に楽しむために開発陣が追求してきた視界性能の考え方や技術について、車両実研部の中村誠之が説明します。
“人間にとって見えるとはどういうことか”。マツダの考える良好な視界のあり方を定義。
人間の知覚情報の約8割は視覚によるものといわれています。つまり人間は見ることで多くの情報を入手し、それをもとにさまざまな活動を行っています。クルマの運転も同様です。ドライバーに運転環境に応じた適切な視覚情報を与えることのできる優れた視界性能が、安全で快適な走りをもたらします。「視界性能を考えるにあたって、我々は“人間にとって見えるとはどういうことか”を徹底的に研究しました。これをふまえ、運転における良好な視界のあり方を定めていったのです」。
画像:“人間にとって見えるとはどういうことか”。マツダの考える良好な視界のあり方を定義。
「マツダの考える良好な視界とは、“自然な運転姿勢のままで、身体の負担なく見たいものが見える”という状態です。あくまでもドライバーである人間が発想の原点なのです。ドライバーが我々の推奨する理想的なドライビングポジションをとり、目線を安定化させる。そして、ごく自然な姿勢で運転する。その目線の範囲内にドライバーの見たい視覚情報がしっかり確認できるよう視界をデザインしました」。このように理想の視界性能を、運転する人間の体の特性に基づいて開発していきました。
ドライバーはもちろん歩行者の安全も守る、人間特性から発想した3つの視認性。
人間を中心に発想したマツダの視界性能は、(1)パノラマ視認性、(2)連続視認性、(3)夜間視認性、大きくこの3つの視認性を追求しています。
(1)パノラマ視認性:見開きのよいワイドな前方視界を実現
画像:見開きのよいワイドな前方視界を実現した、“パノラマ視認性”。
1つめの“パノラマ視認性”は、ワイドな視界をフロントウインドーの範囲内で確保するというものです。「目安としては、交差点に差しかかった際、左右の横断歩道を渡ろうとする歩行者が両方ともフロントウインドー内から確認できるようにしています。このような見開きのよい視界を実現するには、左右のAピラーを通常より後方に置く必要があります。この考え方は車体設計に影響を及ぼすもので、エクステリアデザインにも関わってきます。デザイン的にはAピラーは後ろ気味にあったほうがプロポーションの見栄えがいいため、視界の考え方と方向性は一致していました」。
「問題はドアミラーでした。必然的にドアミラーの位置も後方に移動することになり、人間特性をもとに定めた“自然な視野角”を超えてしまう可能性がありました」。中村たちは微妙な調整を重ねることで、ドライバーの身体に負荷をかけることなくワイドな視界を確保するパノラマ視認性を実現しました。
(2)連続視認性①:左折時でも歩行者を発見しやすい視界を確保
2つめの“連続視認性”は、クルマや対象物が動いている状態で視認性を確保するというもの。
「これは、とくに死角の多い左折の際の視認性を追求することで生まれた技術です。具体的には5歳児が横断歩道を渡ろうとしている状況を設定し、Aピラーの前、Aピラーとドアミラーの間、ドアミラーの上、どの位置でも身長の低い子どもの姿が視認できるように視界を設計しています」。
画像:左折時でも歩行者を発見しやすい視界を確保する、“連続視認性➀”。
「重要なポイントは、人間は対象物の全体でなくても、適度な量が見えればその存在を認知できるということ。そして、左右それぞれの目で見ている映像にはズレがあり、それらの映像情報が脳に伝達され統合的に映像を認識しているということです。これらの人間特性を検討のベースとしたうえで、Aピラーやドアミラーのレイアウト、形状を設計しました。具体的には、左目または右目のどちらかで必ず子どもの身体の一部が視認できるように、Aピラーとドアミラーのすき間の幅、そしてドアミラーの高さなどを設定し、子どもの姿を隠すことなく連続して視認できる安全な視界をつくり上げています」。
このAピラーとドアミラーの配置は、子どもの安全を守る技術として高く評価され、キッズデザイン賞の最優秀賞である「内閣総理大臣賞」を受賞しました。
子ども視点のクルマづくり「第8回キッズデザイン賞受賞技術」はこちら
(2)連続視認性➁:コーナーでのより安心感のある走りをサポート
また、カーブを安全に走行するための連続視認性も追求しています。
「ポイントは、ドライバーが前方車両の異常を察知した際、ブレーキを踏み、追突せずに安全に停止できること。そのためには、安全停止に必要な車間距離を確保した少し先の走行空間が視認できることが重要です。さらに、自分の進行方向を確認し、どのような走りをすればいいか判断するには、数秒後の走行空間が視認できることが求められます。我々はこれらの情報を、それぞれフロントウインドー内、サイドウインドー内で視認できるようにしています」。
画像:コーナーでのより安心感のある走りをサポートする、“連続視認性➁”。
このように、コーナリング時の連続的な空間情報を視認できるようにすることで、ドライバーはどのような走りを選択すればいいか、判断しやすくなります。これを中村たちは、比較的きついカーブでも視認できるように設計しています。
(3)夜間視認性:夜間でも安心して走行できる運転環境を追求
3つめの“夜間視認性”は、パノラマ視認性と連続視認性を夜間の走行状況に合わせて適用するというものです。
「クルマを運転する際の視認性は、昼間だけを想定しても意味はありません。照射範囲を自動制御したり、よりワイドな範囲への照射を可能にするALH(アダプティブ・LED・ヘッドライト)や、カーブなどでドライバーが進みたい方向にヘッドライトを照射するAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)を採用することで、夜間も昼間と同じ考え方で夜間に応じた良好な視界を実現することに取り組みました」。
とくにALHは、約40km/h以下での走行時、通常のロービームでは光が届かなかった左右方向を照らし出すワイド配光ロービームなどによって、夜間に歩行中の子どもを視認しやすくする技術として評価され、キッズデザイン賞を受賞しています。
子ども視点のクルマづくり
「第9回キッズデザイン賞受賞技術」はこちら
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「この3つの視認性は、すべて人間中心の視界性能の考え方から生まれたものです。そしてさらに重要なのは、これらはマツダのクルマづくりの基本をなすものであり、CX-5以降の新世代商品にはすべてこの視界設計の思想が反映されているということです (*) 。デミオからアテンザまでどのクルマに乗っても、我々が長年追求してきた安心して運転できる視界性能を感じていただけると思います」。
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マツダコクピットは只の願望?(1)cockpit
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