マツダ地獄の再来になりかねない「マツダ営業方式」の実態を知るべきではないか?
- 読んで面白い記事だけど、こういう記事が提灯記事と言うのか、鵜呑み記事と言うのか、実態とのかい離を理解しない、素直に読む人には迷惑な記事になりかねない。
- 淵野辺店に顧客視点の何があったと言うのだろう。目先の自分の成績優先で顧客はほとんど無視している。
- 特定の販売現場の問題ではない。トップは現場に目を向けようともしないのだからマツダ全社の問題だろう。
http://president.jp/articles/-/16895
2015年12月30日(水)
「マツダ営業方式」自分の道は自分で決めたほうが楽しいに決まっている
マツダ絶好調の秘密はここにある!【5】
PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS
著者
ジャーナリスト 宮本喜一=文
マツダのロードスター(2015年5月発売)がこのほど「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」(日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会主催)を受賞した。昨年のデミオに続き、2年連続でマツダ車が“最優秀”と評価された。マツダといえば今や、スカイアクティブという独自技術に注目が集まる。しかし、このスカイアクティブを世に浸透させるのには、エンジニアの努力はもちろんのこと、その努力を顧客に浸透させる販売・営業の力も見逃せない。そこには、スカイアクティブを生んだ技術革新と同質の販売革新に取り組む、マツダ独自の挑戦があった。そしてそれは今でももちろん進行形だ。
その実像を知るため、マツダの本社で販売・営業のキーマンに会った。
チームワーク、人材の育成、顧客視点
稲本信秀(当時常務執行役員、現専務執行役員)の呼びかけによって2009年初夏に広島の本社で開始された研究会は、その後約1年間続く。広島や大阪、横浜などのマツダの拠点が開催地となった。この研究会で、国内営業本部は稲本の理念をもとに「マツダ営業方式」具体化作業を行なったのだ。ここで、価値観や行動指針、そして基本活動といったものを、営業部門だけの力で1冊の書物にまとめあげる。M-BOOKと名付けられた。完成は2010年6月。70ページほどの冊子で、現在では全国の販売担当者全員が持っているという。
稲本信秀・取締役専務執行役員
M-BOOKができあがった2010年6月という時期は、ちょうどリーマンショックを乗り越え、マツダの開発陣がそれまで数年かけて開発に取り組んでいたマツダ独自の技術、スカイアクティブの完成についにメドがついたときと重なっている。スカイアクティブは、マツダが取り組んだ「モノづくり革新」「一括企画」といった経営・開発方針から生まれたマツダ車を革新的に生まれ変わらせる技術だった。この年の10月には、スカイアクティブ技術の完成を正式に発表している。つまり、マツダのクルマが生まれ変わる、そのときそのクルマを売る販売部門も販売手法の革新である「マツダ営業方式」を自らの組織に浸透させることによって、スカイアクティブ搭載車の発売を待つ態勢を整えるという作業が開始されたことになる。
「マツダ営業方式」が重視したのは、チームワーク、人を育てるための研鑽・育成、そして顧客視点の3点。とくにこの方式の具体案をまとめていく過程で販売の現場から出てきた要求は、チームワークということばをM-BOOKに入れてほしいということだった。現場も、組織内部の協力態勢の欠如を何とかしたいという思いが強かったからだ。共通の価値観を醸成するうえでもこれは貴重な提案だった。この3点の概念を実践できれば、継続的に営業の成果を上げ、自分たちの幸せにつなげられるはずだ。
稲本は内心、手をたたいて喜んだ。国内営業本部の作業に、現場の人たちが積極的に参画することによって、共同作業に発展している、これこそチームワークではないか。かつての向洋の本社を頂点にした上意下達の雰囲気が徐々に消えようとしている、その実感があった。
2012年2月に発売されたスカイアクティブを全面採用した新世代モデルの第1号、SUVのCX-5が好調に販売を伸ばし、続く同年11月発売のアテンザも快調。これに手応えを感じた販売の現場の空気も大きく変わり、販売担当者も自信を持つようになっていく。
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名付けて「人馬一体アカデミー」
そして翌2013年の夏、マツダの基幹車種の一角であるアクセラのニューモデル発売を間近に控えていたころ、2011年の4月に執行役員となり、稲本に代わり国内営業本部長に就任していた福原は(稲本は2013年6月専務執行役員に昇格)、常務執行役員・藤原清志がお膳立てした“特別試乗会”に招かれる。招待客は福原のほかにはただ1人、常務執行役員(営業領域統括)の毛籠勝弘のみ。1泊2日をかけて一般道や高速道路を走る。同乗したのは藤原の部下の開発エンジニア。テストコースではなく、一般ユーザーの一般的な走りを経験することによって、それも同時に競合車と乗り比べることによって普段のドライブでも、つまりたとえば、時速40キロで市街地を走っていても、マツダ車は運転が楽しいことに改めて気づかされた。
『ロマンとソロバン』(宮本喜一著・プレジデント社刊)
福原は、藤原のこの仕掛けに応え、販売現場の人たちに自分と同じ経験をさせようと考えた。自分自身が経験し体感することによってマツダ車の魅力、つまり走る歓びZoom-Zoomを語れるようになるからだ。顧客をこれ以上説得するのによいことばはない。セールスマニュアル一辺倒の状態から完全に脱却できる。
仕掛けから数カ月後、国内営業本部のスタッフや販売現場である販売会社の人たちを対象にしたプログラムが立ち上がる。マツダが山口県に保有する美祢自動車試験場を主会場にした、1泊2日、あるいは2泊3日の研修で、インストラクターは走行領域の専門家的スタッフが務める。名付けて「人馬一体アカデミー」。今では全国の販売会社に浸透している。
このアカデミー効果によって、販売担当者は、マニュアルの学習からはなかなか生まれない自分のことばを、自信を持って顧客に語るようになった。しかもスカイアクティブ搭載車は、一括企画によって開発されているため、マツダ車共通で運転の楽しさを語れるというメリットがある。
マツダ営業方式は、販売現場における共通の価値観を提唱すると同時に、スタッフに対して、「自ら感じ、自ら考え、自ら行動する」ことを要求する。この人馬一体アカデミーは、そうしたスタッフを養成する絶好の場になっている。
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販売・営業部門の出した答えとは
釼持豊・国内営業本部ブランド推進部部長
稲本は、販売改革の哲学を示した。いやむしろ、マツダ営業方式という看板を掲げることによって、販売に携わる人たち全員に対して、その生きざまを考えそして実行することを要求した。それに応えるように、国内営業本部と販売会社は、人馬一体アカデミーをはじめさまざまな実践案を創出することによって、従来の販売手法の変革に取り組んでいる。
2006年、現会長の金井誠太はエンジニアに向かって言った「君たちにロマンはあるか?」。ロマンだけなら誰でも描ける。ただし、ロマンを語るだけでは、そこから何も生まれてこない。マツダのエンジニアは、独自のロマンを描くだけでなく、内外からの“実現不可能”と疑問視されたそのロマンをついに現実のものにし、しかもそこから利益を生み出しマツダの業績伸長に大きな貢献を果たしている。
2008年、稲本は営業販売部門の人たちに向かって問いかけた「君たちの生きざまは何か?」それは表現こそ違え、金井の要求したロマンと同質のものではないか。表現が違ったのは、その対象となる人たちの部門が違っていたからにすぎない。そして、販売・営業部門の人たちも、稲本に対して生きざまの答えを出そうとしている。
国内営業本部ブランド推進部部長の釼持豊は言う。
「生きざま? 稲本は社内でしょっちゅう“生きざま”と言っています。いつも聞かされていますよ」
君たちの生きざまは何か? マツダの生きざまは何か? 顧客はマツダのどんな生きざまに共感を覚えてくれるのか? この投げかけに対して、販売・営業部門はその答えを出すことに取り組む。
その取り組みのひとつがマツダの新たなCMメッセージの展開だった。
2013年6月に始めたメッセージは「マツダは、ドライバーでありたい」そして現在まで続くキャッチフレーズ、Be a driverを展開し始める。
このメッセージがマツダ車ユーザーの共感を徐々に広げ、国内営業本部のスタッフは顧客への直接インタビューを重ねるごとにその手応えを感じたという。このが次のメッセージを生むことになる。
2014年7月には「自分の人生の、主人公になろう」。まさに稲本の言う生きざまそのものだ。そしてそこで、顧客へのインタビューからヒントを得て考え出した「自分の行く道は自分で決めたほうが楽しいに決まっている」ということばが語られる。
最近マツダがコマーシャルメッセージとして一貫して使っているBe a driver。もちろんこのことばを稲本ひとりが生み出したというつもりは全くない。それでも、稲本の唱えている“生きざま”が、スカイアクティブを開発したエンジニアリングの部隊だけでなく、マツダの販売・営業部門の人たちの意識にも浸透しているこれは証拠ではないだろうか。
「ブランドとは生きざま」これが今、マツダの販売・営業部門の強力な“ドライバー”になっている。
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